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北へ出国するということ

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Inside of Vladivostok Air 2007

筆者としては珍しくGWの連休を海外で過ごしました。お休みではなくれっきとした取材旅行。行き先はロシアのウラジオストクです。

近しい友達数人にウラジオストクに行く旨を伝えると、「え、それどこだっけ?」「地理の授業で聞いたような…」「寒いんだろうねえ」「やっぱスパイとかいるのかなあ」とまあ、誰もがあいまいかつ勝手気ままなイメージで、ともかく寒そうで暗そうで怖そうなことを言うのです(かくいう筆者も人のことなど言えず、具体像はなにひとつ思い浮かびませんでした)。

ウラジオストクに関する事前知識はひとえにそんな具合でしたから、我々取材陣にとっても、情報過多の現代にしてはある意味希有な、本当に「外国らしい」外国なのでした。

どんなところかさっぱり分からない。
——旅の本当の愉しみとは、きっとこんなところにあるのかもしれません。


それ以前に一般的な日本人観光客が「外国に行く」という場合、行き先はたいがい東南アジアだったり、東のアメリカだったり、西の欧州だったり、あるいは南のバリやオーストラリアだったりと、ともかくその言葉の中に「北行き」のイメージはまったくもって欠落しています。それに気づいただけでも今回の取材は画期的ではないですか。しかもウラジオストクへは関空からたったの2時間。国内線と大差ない所要時間でその「外国らしい」外国に着けるのです。

ウラジオストクにはさまざまな代名詞がありました。曰く「日本に最も近いヨーロッパ」「シベリア鉄道の玄関口」「永きに渡って閉ざされていた極東の要塞都市」等々。実際どうだったかというと、「どれも当たっていて、かつ、これらのどれが欠けてもウラジオストクを表さない」といったところでしょう。


ドイツ人商人たちが百数十年前に交易都市として拓いたために、建物の多くは石造りの立派な欧風建築です。その昔、飛行機がなかった時代に日本からヨーロッパに行く最短の手段はシベリア鉄道経由でしたし、驚くことに当時の日本では「東京発パリ行き」の列車の切符が買えたとか。そしてこのウラジオストクの街は、ウラジ・ボストーク(東方を征服せよ)の意味どおり、つい最近まで閉ざされた軍港都市でもありました。

街いちばんの展望台から見渡す景色は、丸っこくて愛らしい真っ赤なケーブルカーと、その向こうにやや煤けた感じの欧風の街並みと工場地帯、さらに先の入り江に列をなして停泊する灰色の軍艦たち…。そんなミスマッチの面白さこそがウラジオストクの魅力なのでしょう。


意外に(と言っては失礼ですが)、寒くもないし暗くもないし、ましてや怖くもありません。気温は北海道くらいと思えばいいでしょう。GW期間で気温は7〜15度くらいでしょうか。曇天時にはコートが要りますが、逆に晴れていれば日差しが強く半袖でもいいほどです。行く前に「どのレストランの入り口にも小銃持ったガードマンが立っている」なんて脅かす人がいましたが、それも大ウソ。「外で三脚立ててたら捕まる」「ロシア人はみな身近にスパイがいると思っている」「出国時にお土産のマトリョーシカはひとつずつオープンチェックされる」とか、ぜ〜んぶウソでしたから(←すみません、最後のは作りました)。


筆者はある仕事の縁によって、これから定期的にロシアに赴くことになります。まだ多くの日本人が知らないこの国の魅力を少しでも伝えられたら、それは旅行媒体に携わる者としてとても幸せなことに違いありません。乞うご期待。

ロシア語、覚えなきゃ。

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