カムチャッカ断水日記 Vol.2 完結編
今日の運転手・グレゴリーに「水が出ないねえ」という話題を振ると、新たな事実が判明しました。町の断水は偶然ではなく定期補修だというのです。
「断水は今週末だけさ。事前にアナウンスがあったから当然みんな知ってたよ。だから郊外のダーチャ(ロシア式の別荘)に行ったり、マルキ温泉に行ったり、町を脱出してる人も多いはずだよ」
「こういう断水はよくあるの?」
「ないさ。毎夏恒例、年に1度の大補修だよ。冬が来る前にやらないと温水暖房が止まって命に関わるから今のうちにやるのさ」
確かに、ホテル前の穴だらけのメインストリートも昨日になって突然補修工事が始まり、きょうには終わってしまいそうな勢いです。冬場の凍結のせいで何でもぼろぼろになってしまう北国だから、きっと短い夏に一気にぜんぶ直すのでしょう。
「でもさ、何であのおばさん『知らないわよ』って言ったのかな」
「英語がマズくてそれしか言えなかったんだろ」
「じゃあ断水は今晩で終わり?」
「夜8時には終わるはずさ。栓をひねっておけば少しずつ水圧が上がってくる。場合によっちゃあ復旧は深夜になるかもしれないけど、まあテレビ見てるとか、いい女探すとかして待ってりゃいいのさ」
「でさ、トイレ行きたいんだけど」
町場のレストランで食事を済ました僕が告げると、彼はロシア語で店員に聞いたうえで、やっぱ断水だから使えないって、と言いました。じゃあどうすんの、という問いに彼はこともなげに答えます。
森で。
まったく、カムチャッカの大自然ときたら…。
ホテルに戻って8時になっても、やはり水は出ません。長年の旅人感覚でそもそも時間通りなど期待していなかったので、さっさとレストランに行って、今晩もプラ皿で供されるディナーを食べました。
そうこうして部屋に戻り、10時を過ぎてもまだか、と思ったその瞬間です。どこからかシューッという音が…。
あっ、トイレのタンク! そうです、カラになっていたタンクに水が貯まり始めた音だったんです。すかさず洗面台の方の栓をひねると、ちょろちょろながらも 水が出てきます。やった! ついに水が来ました!! Yes! Water is running!!(←英語合ってるのか?)
水の流れはどんどん太くなって、洗面ボウルはすぐにいっぱいです。給湯システムのせいでしょう、お湯はしばらく出ませんでしたが、ほどなくこちらも開通し、ついに念願のホットシャワーです。(と言いながらも気分的にまだ洗面台の水を捨てられない)。
いや〜、気持ちよかった。
やっぱ便利で快適な生活がイチバンですよね。
めでたしめでたし。
※ ああ、余談ですけど、炭酸水は顔を洗うくらいなら何も不便を感じませんでした。炭酸泉(鉱泉)の存在なんかを思えば納得です。けど歯磨きはヤバかった。口をすすごうとした途端に爆発的に体積が増えて吹き出しそうになる。そりゃそうですよね、炭酸なんですから…。
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